京都の花街、知られざる“お茶屋遊び”の世界――舞妓さんにスポットをあて世界を深堀り【前編】

高野晃彰

日本文化の発信地として知られる京都。1,200年という長い歴史の中で生まれ育まれ、日本を象徴する文化へと発展したものも数多く存在する。

茶の湯、生け花、日本舞踊など、京都で生まれた文化は数えきれないほどある。

現在では、観光で京都を訪れると、そうした文化に体験を通じて気軽に触れられる機会が増えている。しかし、観光客にとっては、いまだにどこか敷居の高さを感じさせる面もあるのが現実だ。

本稿では、そうした京文化の一つである「花街」における「お茶屋遊び」について紹介したい。ベールに包まれたこの魅惑的な伝統文化の世界を覗いてみよう。

見た目とは対照的な芸妓・舞妓の仕事

お茶屋遊びって何だろう?実はこの世界、地元京都に住んでいても、その道に相当精通している人でないと全く分からない、そして縁のない世界なのだ。

ましては観光客にとっては、いくら舞妓に憧れを持っていたとしても、おいそれと覗けるような世界ではないのである。

そのようなお茶屋遊びを正しく理解するためには、先ずは京都の花街とそこで働く芸妓・舞妓のことに触れなければならないだろう。

現在、京都市内には、先斗町・宮川町・上七軒・祇園東・祇園甲部の5カ所の花街があり、あわせて「五花街」と呼ばれている。

京都伝統技芸振興財団(おおきに財団)によると芸妓・舞妓の数は、2024年には五花街全体で、芸妓155人、舞妓56人、あわせて211人とされる。この数は、四半世紀前の2000年の250名と比べると15%ほどの減少となる。

ただ、戦後まもなくの時期でも、600名を超えていたというデータがあるので、やはりその数は減少の一途をたどっていると言わざるを得ないだろう。

2ページ目 憧れだけでは務まらない、花街での仕事

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