戦国時代といえば、戦国武将のほかに「忍者」の活躍もありました。ただ、忍者の活動についての記録は残っているものが少なく、女忍者である「くノ一」に関しては、さらに情報が少なくなっています。
今回は、そんな女忍者たちの役割とともに、ハニートラップを仕掛けたとされる伝説上のくノ一「初芽局(はつめのつぼね)」について紹介します。
女忍者「くノ一」とは
「男」という漢字は、上の部分「田=た」と下の部分「力=ちから」が組み合わさっていることから、「たぢから」と呼ばれることがありました。
そして女忍者は、「女」という漢字をバラバラにすると、ひらがなの「く」とカタカナの「ノ」、そして漢字の「一」になることから「くのいち」と呼ばれていたようです。
ただし、「くノ一」は江戸時代に「女性」を指す隠語であり、女忍者とは何の関係もない言葉だという説も。
そして、「くノ一忍法帖」や「くノ一死ににゆく」などの山田風太郎作品にて、「くノ一=女忍者」との認識が広まっていったとの説もあります。
「くノ一」の役割
「くノ一」は、男忍者では難しい「相手の懐に入り込む役割」を担ったようで、料理の仕込みや雑用をこなす女中としてターゲットの屋敷で働くことが多かったようです。
女中に扮した「くノ一」は、女中としての仕事をこなしながらターゲットを観察し、見聞きした内容を仲間に報告しました。
これが、「万川集海」という忍術書にも記されている、「男忍者では難しい場合に使う、くノ一の術」の簡単なイメージです。
「万川集海」は、伊賀の三大上忍のうちのひとり藤林長門守の子孫、藤林保武が20巻以上にわたってまとめたもので、4代将軍「徳川家綱」時代の1676年に完成しています。
くノ一「隠れ蓑の術」
「隠れ蓑の術」という術もありました。
たとえば、武将の奥さんに仕えて外出し、荷物を入れる木でできた大型の箱である「木櫃」を二重底にしておき、下の段に忍者仲間を忍ばせて屋敷へ持ち帰る方法です。
木櫃に潜んだ忍者は、屋敷に戻って武将を暗殺します。
そのほか、このあと紹介する「初芽局」のように、ハニートラップを仕掛けて敵将の側近として仕えるといったケースもあったようです。