どこにも行かぬと逃亡し、出家したと偽って駄々をこね、挙げ句の果てに母親と引き離されてわめき……いやはや。概ね史実とは言え、実に見苦しい展開でしたね。
藤原伊周(三浦翔平)の完全失脚により、藤原道長(柄本佑)に政敵はいなくなりました。
すべては藤原詮子(吉田羊)と源倫子の計画通り……本作においては、どこまでも野心のない人物として描かれ続けます。
出家して失意に沈む中宮・藤原定子(高畑充希)を慰めようと、かつて賜った紙に筆を走らせる清少納言(ファーストサマーウイカ)。輝かしい日々を心の随(まま)に描いた筆は、後世『枕草子』と呼ばれたのでした。
一方まひろ(紫式部。吉高由里子)は越前国司となった父・藤原為時(岸谷五朗)と共に越前へ。大騒ぎしていた宋人たちを一喝します。
NHK大河ドラマ「光る君へ」第21回放送は「旅立ち」。皆さんも楽しめましたか?今週もさっそく気になるトピックを振り返っていきましょう!
伊周たちのその後
……員外帥出家帰本家云々、……(中略)……車内有女法師、帥母氏云々、可副遣歟者、仰云、不可許遣……
※藤原実資『小右記』長徳2年(996年)5月4日条
【意訳】権帥(伊周)が出家した姿で帰ってきたという。(中略)車の中に出家した女がおり、伊周の母であった。同行したいと言っているが、許されなかった。
母・高階貴子(板谷由夏)と引き離され、涙ながらに大宰府へと護送された藤原伊周。既に出雲へ向かった藤原隆家(竜星涼)ともども、その後どうなるのでしょうか。
伊周と隆家はそれぞれ病いと称してごね続け、伊周は但馬国(兵庫県北部)、隆家は播磨国(兵庫県南部)に留められました。
やがて10月になると、伊周は貴子が重病に倒れたと知って、いても立ってもいられずに京都へ舞い戻ります。
又しても定子に匿ってもらいましたが、密告されて捕らわれ、今度こそ大宰府へ連行されました。10月末には貴子が世を去り、伊周は12月に大宰府へ到着します。
そんな12月16日、定子は長女の脩子内親王(しゅうし/ながこ)を出産しました。
年が明けて長徳3年(997年)、伊周たちは罪を赦され、一条天皇(塩野瑛久)は定子母娘を再び入内させます。
これは傷心の一条天皇を慮って道長と詮子が提言したとも言われますが、一度出家した者を入内させるという不謹慎かつ異例の措置に、声なき批判が集まったのは言うまでもありません。