『源氏物語』の清書・製本
大河ドラマ『光る君へ』で話題沸騰中の紫式部ですが、いよいよ彼女の執筆した『源氏物語』が、日の目を見る日がやってきます。
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執筆に関する伝承大河ドラマ『光る君へ』で話題沸騰中の紫式部ですが、『源氏物語』の起草にまつわる有名な伝承があります。寛弘元(1004)年のある日、選子内親王が、中宮の彰子に「まだ読んだこと…虚構だ!『源氏物語』を読んではならぬ…煩悩の嘘を書いた罪で、紫式部は地獄に堕ちてしまった?【前編】
2024年NHK大河ドラマ「光る君へ」の主人公で、吉高由里子さん演じる紫式部。紫式部にまつわるエピソードは数えきれないほどたくさんありますが、平安〜鎌倉時代にかけて、紫式部は煩悩の創造物である…
それは、藤原道長の孫にあたる敦成親王の、生後50日目の夜に催される「五十日の祝い」の儀式が終わった11月上旬のことでした。
道長の娘であり、敦成親王の母親でもある中宮・彰子が内裏に戻る還啓が近づく中、彰子が直々に『源氏物語』の冊子作りを呼びかけたのです。
おそらく彰子は、『源氏物語』を、その愛読者である一条天皇への手土産にするつもりだったのでしょう。
これは大変な重労働でした。なにせ現代のように印刷機械も専門の印刷所も存在しない中、紙選びや清書・製本作業を全て手作業で行わなければならないからです。