嫌な取引先への接待やつまらない呑み会など、気乗りのしない集まりって、ありますよね。
気乗りがしなければ行かなければいいのですが、なかなかそうも行かないのが世のならいというものです。
どうしても行かねばならない時、あなたならどうしますか?そんな悩みはいつの時代にもあり、みんなそれぞれに答えを出してきたのでした。
今回は戦国時代に生きた女性・陽泰院(ようたいいん)のエピソードを紹介したいと思います。
しつこい誘いを断るも……
陽泰院は九州肥前の戦国大名・鍋島直茂(なべしま なおしげ)の正室。若いころから機転のきく女性として評判でした。
さて、そんな時、天下人・豊臣秀吉が朝鮮征伐のため肥前・名護屋城に入ります。
秀吉は権力にモノを言わせ、九州一円の大名らを呼び集めて挨拶させていました。
「ふん、成り上がりの猿めが。せいぜいいい気になっておれ」
もちろん夫の直茂も仕方なく挨拶に参上していますが、なにぶん女好きな秀吉のこと。今度は妻妾らにも招集をかけたのです。
「そういう訳で、奥方様にもご参加下さるようにと……」
表向きは楽しい宴会。しかしその実態は秀吉への接待以外の何物でもありません。
現代でも、ブラック企業で「※参加は任意です」とか銘打って忖度させる呑み会とかありますよね。そんな感じだったのでしょう。
「嫌です。都合が悪いとお断りの返事を出しなさい」
陽泰院は蔵主(ぞうす。僧侶)を使者に出して断りました。