2024年の大河ドラマ『光る君へ』は、主人公・紫式部(まひろ)を取り巻く少女マンガ的な展開などで大きな盛り上がりを見せています。
そんな大河ドラマのなかで、中核的な存在を担っているのが、藤原兼家と彼の3人の息子(道隆・道兼・道長)たちではないでしょうか?
今回の記事では、そんな3兄弟のなかから、井浦新さん演じる長兄・藤原道隆について、彼と「お酒」との関係にフォーカスしてご紹介していきたいと思います。
大河ドラマのなかでも、板谷由夏さん演じる妻の高階貴子(たかしなのきし/ たかこ)や、玉置玲央さん演じる弟の藤原道兼とお酒を飲むシーンが描かれていましたが、藤原道隆は一体どれほどお酒が好きだったのでしょうか?
藤原道隆のお酒好きエピソード
藤原道隆がお酒が好きだったことは、さまざまな有名な書物の記述からわかります。たとえば、清少納言が記した随筆『枕草子』や、平安時代後期に成立した紀伝体の歴史物語『大鏡』などに記載がみられます。
具体的なエピソードとしては、藤原道隆は、彼の飲み仲間であった藤原済時(941~995)、藤原朝光(951~995)とともに、お酒に酔って簾を上げて冠を脱ぎ、頭髪を人前に晒してしまったことがあるとか。
当時、冠を脱いで頭髪を見せるというのは無礼にあたり、人に対して下着姿をさらすような、もしくは下着を脱ぐことよりも恥ずかしいことだとされていました。
頭髪を晒すのは無礼者!平安時代、冠や烏帽子を脱ぐのは下着姿になるよりも恥ずかしいことだった
また、紫野(むらさきの)に出かけた際には、烏がとまっている形で瓶(=酒を入れる器)に作らせて、その器を気に入り、折があればそれにお酒を入れて飲んでいた、というエピソードもあります。
さらに、先ほどの藤原道隆の飲み仲間・藤原済時と藤原朝光が彼の邸宅へやってきた際には、彼らが酔わずに帰るのを物足りないと思ったとか。二人が酔っぱらって、人に担がれながら牛車に乗るのを面白がったとも言われています。