【前編】では、日本でも明治時代にチーズケーキが紹介されるようになったものの、なかなか普及発展には至らなかったもどかしい状況を説明しました。
チーズケーキはいつ「定番」になった?日本人のチーズおよびチーズケーキ受容の歴史【前編】
戦後のドイツ料理店で発売
状況が大きく変わったのは戦後です。大正時代も、さまざまなレシピ本の中でほそぼそと紹介される程度だったチーズケーキですが、ついにレストランで提供されるようになったのが1946年のことでした。
ここでようやく、「日本で初めてチーズケーキを販売した店」が登場します。それは銀座のドイツ料理店・ケテルです(ケテルとは王冠や王者の意味)。
この店は第一次大戦時に捕虜となったヘルムート・ケテルという人が1930年に銀座に構えた店で、ドイツ人のたまり場にもなっていました。
当時としては珍しい本格ドイツ料理が食べられる店だったそうです。ここでレアチーズケーキと焼いたタイプのチーズケーキの双方が提供されるようになったのです(後述するように、レアチーズケーキは日本独自のものという説もあります)。
また戦後間もない時期、進駐軍を通してベイクドチーズケーキが広まったとも言われています。そしてその後、冷蔵技術の発達によるところも大きかったのでしょう、1960年代には複数の店舗が続々とチーズケーキを販売し始めました。
例えば1964年には赤坂の「トップス」がレアチーズケーキを発売。続けて翌年にはモロゾフが焼きチーズケーキを売り出します。そして女性誌で取り上げられたことで、1970年代にはチーズケーキがブームとなりました。