「あんびん」と大福餅
あんびんという和菓子のことはご存じでしょうか。これは大福餅と似ており、地域によってはあんぴん・おやき・ちゃなこ・はりこしと呼ぶこともあります。特に山形や長野や山梨、埼玉などで郷土料理として親しまれています。
作り方はシンプルで、薄く伸ばした餅の皮で、あんこを包むというもの。この説明だけを聞くとまるきり大福餅そのものですが、その違いは材料の塩にあります。
あんびんは、餅の皮の中に塩が使われており、この塩味が小豆(あんこ)の甘みを引き立たせる役目をはたしているのです。
ここであんびんの表記の話になりますが、あんびんを漢字で書くと塩餅となり、まさに塩が一番の特徴であることが分かります。
また、あんびんと大福餅の大きな違いとして、皮の材質が挙げられます。あんびんの皮は先述の通り薄く伸ばしたお餅ですが、大福餅の皮は白玉粉と砂糖から作られた求肥です。
この材料の相違がどんな違いをもたらすのかというと、大福の皮は糖分が含まれているため時間が経っても柔らかいですが、あんびんは餅そのものなので、時間の経過と共に固くなるのです。
ただ、だから大福餅より劣るわけでもなく、そのかわり焼いて食べるという楽しみ方もあります。あんびんを焼くと「おやき」になると言えるかも知れません。
また、醤油や雑煮とも相性がよく、小豆の甘さを引き立たせるためにお汁粉に入れたり、砂糖をつけたりする食べ方もあるようです。