師匠の師匠は三蔵法師
行基(ぎょうき)という奈良時代のお坊さんのことは、皆さん日本史の中で耳にしたことはあるでしょうか。
実はこの人、『西遊記』に登場する三蔵法師の孫弟子と言われています。その他、日本で最初の「大僧正」になるなど、数々の伝説に彩られています。
彼が生まれたのは西暦668年、大阪でのことでした。彼は15歳という若さで出家すると、24歳で戒を宇けて飛鳥寺に入ります。
若い頃は山の中での修行と、飛鳥寺で経典を学ぶ日々を送った行基は、40歳頃から民衆への布教や社会事業を行うようになります。
民衆への布教というと現代の感覚では珍しいものではありませんが、当時の僧侶は寺院に篭って祈るというスタイルが普通で、外に出て布教活動に励むということはありませんでした。
なぜなら、当時の日本における仏教は、信仰というよりも政治を執り行うための学問としての性質が強かったからです。そのため民衆への布教は禁じられることもありました。
そんな風潮の中、行基は仏教の信仰としての性質を取り戻すべく、民衆へ教えを説くために諸国を歩きまわったのです。