伊勢・今川氏の系譜
よく、日本史上最初の戦国大名として名前が挙げられるのが北条早雲ですが、彼は織田信長や武田信玄のようなビッグネームと比べて、やや知名度が低いところがあります。一体どんな人物だったのでしょうか。
北条早雲の出自は謎に包まれていますが、以前は、彼は一介の素浪人から戦国大名にのし上がったとされていました。しかし現在は研究が進み、室町幕府の政所執事だった名門・伊勢氏の出身だったのではないかとみられています。
彼の父親である伊勢盛定は、同族で幕府の政所執事でもあった伊勢貞親とならび、申次衆という幕府の重要ポストに就いていました。ちなみに当時の将軍は八代目の足利義政です。
彼が特に歴史上大きな役割を果たしたのが応仁の乱のときです。駿河の守護だった今川義忠が、将軍御所の警護のために上洛したのですが、この時、今川氏と幕府との間を取り次いだのです。
これがきっかけとなり、伊勢氏の娘である北川殿が義忠に嫁ぐことになります。
この北川殿は、北条早雲の姉妹にあたる人物で、彼女はその後、世継ぎとなる龍王丸を生みました。これがのちの今川氏親ですが、しかし今川義忠は遠江で戦死。これがきっかけとなり、今川氏の家中では家督争いが発生してしまいます。
北条早雲はこの家督争いに参戦し、名を上げていくことになります。