俺たちの泰時の面影が今も残る…鎌倉幕府三代執権・北条泰時の菩提寺「常楽寺」に行ってみた

湯本泰隆

神奈川県鎌倉市にある大船駅から徒歩15分程歩いたところに、「粟船山(ぞくせんざん)常楽寺」というお寺があります。17世紀頃の建立とされ、現在は鎌倉市の指定有形文化財になっています。

昼間は、境内から幼稚園児たちの元気な声が聞こえるこのお寺は、バス通りから真っすぐな参道が続いているので、初めて訪れる方でもわかりやすいかと思います。

鎌倉幕府三代執権・北条泰時が眠る地でもあります。

趣のある茅葺き屋根の四脚門を通り抜けると、仏殿の手前には、泰時が自ら手植えをしたと伝わる大銀杏の老木があります。

仏殿を目の前にして、向かって左側には、頂上に猿が寝そべった姿を載せる庚申塔があり、「かまくら」とひらがなで彫られていました。ひょっとしたら、道標として旅人達に進路を示していたのかもしれません。右側には、庫裏と本堂客殿がありました。

厳粛な気持ちで仏殿に入ると、木造の阿弥陀如来と両脇侍像が目に入ります。中央の阿弥陀如来座像は像高70cm、左右の観音・勢至菩薩像は同85cm前後で、作風に中国・宋の影響があり、鎌倉時代の仏師・定慶の作とされています。

2012年2月、この仏像の台座部分に「仁治三(1242)年六月十二日」と墨書されていることが判明し、鎌倉市の有形文化財に指定されました。台座に書かれていた年月日は、泰時の出家(仁治三年五月九日)の33日後、死(仁治三年六月十五日)の3日前にあたることから、これらの仏像は、泰時が極楽往生を祈願して造立したものと考えられています。

2ページ目 仏殿の裏には泰時のお墓が

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