後白河法皇(演:西田敏行)の寵姫として権勢を奮った丹後局(たんごのつぼね)。鈴木京香が好演したこの女性が、再び尼御台・政子(演:小池栄子)の前に立ちはだかるようです。
法皇猊下の御万歳(ごばんぜい。崩御)以来、政治の表舞台から姿を消した彼女は、どのような生涯を送ったのでしょうか。
今回は改めて丹後局こと高階栄子(たかしな えいし/よしこ)の生涯をたどってみたいと思います。
唇一つで「大天狗」後白河法皇さえ思いのままに
高階栄子の出自については謎が多く、父親は法印澄雲(ほういん ちょううん)か上座章尋(じょうざ しょうじん)ではないかとする説が有力です。
母は平政子(たいらの まさこ。若狭局)の可能性が濃厚。政子は平正盛(まさもり。平清盛の祖父)の娘なので、栄子は平清盛(演:松平健)のいとこおばに当たります。
後白河法皇の側近・平業房(なりふさ)に嫁ぎ、金毘羅丸(こんぴらまる。後の山科教成)たちを生むなど順調な人生でした。
しかし治承3年(1179年)11月の政変により後白河法皇が清盛に幽閉されると、業房は官職を解かれた上に伊豆国へ流罪にされてしまいます。
「こんなところで朽ち果ててたまるか!」
護送中に逃亡した業房。しかし間もなく捕まってしまい、平宗盛(演:小泉孝太郎)に拷問を受けた末に殺されました。
ここで遺された妻としては、普通なら夫の菩提を弔うべく出家するところ。しかしこのまま終わってなるものかと栄子は幽閉中の後白河法皇に接近します。
失意の法皇にとって彼女の存在は何よりありがたく、おまけに生来の美女とあれば寵愛するのは当然とも言えるでしょう。
冬来たりなば、春遠からじ……やがて養和元年(1181年)閏2月に清盛が亡くなり、後白河法皇は次第に復権を果たします。