「般若」は仏教用語
般若(はんにゃ)という言葉があります。「般若心経」というお経にも出てくる言葉ですが、同時に、なぜか恐ろしい鬼のような顔のお面のことも「般若」と呼びますね。
般若とは、サンスクリット語の「プラジュニャー」やパーリ語の「パンニャー」に由来をもつ、「仏の智慧(ちえ)」という意味の仏教用語です。
私たちが、知識が豊富であることに対して使う「知恵」と違って、「智慧」は「物事をありのままに知ること」を指します。仏教的な悟りの境地に至るには、知恵よりもこうした智慧の方が大切だとされています。
ところで、般若心経というお経がありますが、あれは正式には般若波羅蜜多心経という大乗仏教の経典です。三蔵法師がインドから持ち帰ったものだと言われています。
般若心経は仏教の経典の中でも最も短いとされる276文字程度のものですが、インド仏教で生まれた「空(くう)」の思想と般若の思想についてシンプルに説かれています。
そこには、すべての事柄は不変の実体を持たず、因縁によって生じたものであり、智慧によって執着を離れることで悟りに至ると記されています。