「幽霊」の歴史
漫画やテレビで幽霊が出てくる時の定番の音に「ヒュ~ドロドロ」というのがありますね。あれは一体何なのでしょう?
実はあの音の正体を探っていくと、幽霊の歴史そのものに行き当たります。厳密に言えば、「幽霊の描かれ方の歴史」でしょうか。
江戸時代には怪談が大流行しました。絵画や読み物をはじめ、能や歌舞伎などの芝居でもさまざまな怪談物が演じられました。
「ヒュ~ドロドロ」という音は、歌舞伎などで使われる下座音楽が由来です。下座音楽は舞台下手側で演奏される舞台音楽のことで、能や歌舞伎では、こうした効果音や音楽が欠かせません。
「ヒュ~」という音は隙間風を表現しています。竹で作られた横笛である能管によって奏でられる音で、昔から能や歌舞伎、寄席などさまざまなシーンで使われていました。
「ドロドロ」という音は大太鼓を小刻みに打つ音で、幽霊が登場する様子を表しています。幽霊だけでなく人魂など、人外の存在が舞台に現れた際にも使われます。