何故、『竈(かまど)』を祭る舞が存在するのか
前回、蘇利古の紹介において、“古代の朝鮮において酒を醸造する時には、必ず先ず井戸と竈とを祀り、また舞を演じたので、竈祭舞(かまどまつりのまい)とも呼ぶ”とご紹介しました。
千と千尋の神隠しにも出ていた?雅楽の舞「蘇利古(そりこ)」の実に奇妙な面の謎【その1】
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その竈祭舞とは何かというと、以下のような記述が見られます。
『古事記』に「諸人の以ち拝く竈神」といい、『続日本紀』天平三年(七三一)正月条に庭火御竈四時の祭祀を常例とするとある。また『延喜式』臨時祭には「鎮竈祭」および「御竈祭」がみえる。
竈は日常の飯食を炊ぐところであり、そのために火の穢を忌み竈神を祭ってその守護を祈ることが行われた。
ジャパンナレッジ(https://japanknowledge.com/introduction/keyword.html?i=735)より引用
このなかで“火の穢を忌み竈神を祭ってその守護を祈ることが行われた”と記されています。
日本では古来より“火”は穢れやすいものと考えられてきました。
火は時には人に火傷を負わせ、またあるときには家を、またあるときは山々をも燃やし尽くす危険なものだと知っていたからでしょう。
“竈(かまど)神”とは竈・囲炉裏・台所など家の中で火を使う場所に祀られる神であり、“火の神”であると同様に農業や家畜、家族を守る守護神とも考えられています。