GHQに睨まれた日本の「宝物」
終戦直後に、日本がアメリカに占領されたのはご存じのとおりです。そしてGHQによる占領政策の中には、「日本刀を回収・破壊」するというミッションもありました。
限定的な分野の話なので注目されることも少ないですが、今回はこの、知られざるミッションについて説明します。
古来から、日本において刀剣は、単なる武器ではありませんでした。
古墳時代には墳墓に埋葬されましたし、多くの神社で御神体として祀られたりもしています。下賜や献上の際に贈答品となることもあり、こうした刀剣は宝物として大切にされていました。
また南北朝時代、後鳥羽上皇が刀剣の鑑定に秀でていたという内容の記述が『増鏡』にあることから、鑑賞の対象であったこともわかります。
こういった鑑賞の対象になるような日本刀の刀身には、神仏に関する文字や絵が彫られることがあります。すると刀剣としての強度が弱くなるため、戦場で武器として使うことはできませんでした。
実は日本国内の戦で、刀傷が致命傷となった兵は以外にも少ないと言われています。戦場で活躍するのはもっぱら弓矢であり、戦国時代以降は鉄砲でした。
もちろん刀が使われないという意味ではありません。武器として使うべく、強度を高めた刀も数多く作られています。
このように日本には宝物としての日本刀、鑑賞物としての日本刀、武器としての日本刀など、さまざまな刀がありました。
これが全て、GHQから目を付けられることになります。