持てるすべてを駆使して戦え!武士道バイブル『葉隠』が伝える古武士の精神論

♪尺余の銃(つつ)は 武器ならず 寸余の剣 何かせん
知らずやここに 二千年 鍛え鍛えし 大和魂(やまとだま)……♪

※軍歌『歩兵の本領』

【意訳】一尺(約30.3センチ)ちょっとの小銃など、武器の内には入らない。また一寸(1/10尺)ばかりの剣で何ができると言うのだろうか。知らないのか?2000年以上の歴史の中で鍛え上げられた大和魂こそ、何よりの武器だということを。

小銃が一尺、剣(軍刀、銃剣)が一寸なんてことはありませんが、何よりも大切な大和魂に比べれば銃も剣も大したものではないと言いたいのでしょう。

このように、とかく精神論・根性論を重んじる日本人。その気質は昔から変わらなかったようで、今回は江戸時代の武士道バイブルとして名高い『葉隠(はがくれ。葉隠聞書)』より、こんなエピソードを紹介したいと思います。

若い藩士たちへの教訓

今は昔し、佐賀藩・鍋島家中に大木前兵部(おおき さきのひょうぶ)という古武士がおりました。

彼は組の寄合に出るたび、若い藩士たちを捕まえては語りかけたと言います。

「よろしいか。お若い方々は奉公の心がけとして勇気を嗜まれよ。勇気というものは才能を必要とせず、心がければ誰でも身に着けられるものだ。いざ戦さにおいて刀が折れてしまったら拳で敵を殴り殺せ」

問「もし手首を切り落とされてしまったら、何とされますか?」

答「手首がなくても残った肘や肩を叩きつけ、ほぐり倒してやればよかろう」

3ページ目 問「肩の根元からバッサリ斬り落とされた時は?」

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