曽我兄弟の襲撃に遭いながら、スケベ心のお陰で助かった源頼朝(演:大泉洋)。
無事に鎌倉へ帰還して、愛妻の政子(演:小池栄子)と感動の再会を果たしたはいいものの、今度は源範頼(演:迫田孝也)に謀叛の疑いが浮上します。
自分の天運があとわずかであることを予感し、焦りと猜疑心にとらわれて行く頼朝。鎌倉幕府の権力基盤を確かなものとするため、大姫(演:南沙良)の入内工作を進めるのですが……。
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、第24回放送のサブタイトルは「変わらぬ人」。変わらないのは、どこまでも人を信じられない頼朝か、どこまでも兄との和解を信じたかった範頼か、それとも……。
今回は亡き許婚・源義高(演:市川染五郎)への変わらぬ思いを貫いた大姫のその後を紹介。
大河ドラマの予習、あるいは三谷幸喜がどこをどうアレンジしたのか、違いを楽しむ参考になればと思います。
無神経すぎ!二度目の縁談は義高の死後たった3ヶ月!
元暦元年(1184年)4月26日、頼朝の刺客によって義高が討ち取られてしまいました。大河ドラマでは第17回「助命と宿命」でしたね。
元から病弱であった大姫は7歳という幼さで最愛の許婚を喪い、ショックのあまり病床に臥すようになってしまいます。
その後、いっとき回復することもありましたが、基本的には寝たり起きたりの暮らしが生涯にわたって続きました。
かわいそうな大姫……しかし、そんな心の傷を踏みにじるかのごとき縁談が舞い込んだのは同年8月。最愛の人が殺されてたった3ヶ月ちょっと。いくらなんでも無神経すぎです。
廿三日、己卯晴、入夜雨下、傳聞、摂政可爲頼朝婿云々、是法皇仰云々、仍修理五條亭被移住、頼朝上洛之時爲迎新妻云々、
※『玉葉』巻第四十一・元暦元年(1184年)8月23日条
【意訳】聞くところによれば、摂政殿が頼朝の婿になる(=娘を娶る)とか。法皇猊下の仰せとか。よって五条の屋敷を修理して移り住み、頼朝が上洛した時に新妻を迎えるつもりだとか。
摂政殿とは近衛基通(このゑ もとみち)のこと、縁談をもちかけた法皇とは、かの大天狗・後白河法皇(演:西田敏行)です。
「頼朝は朝廷に接近したがっているから、その娘を摂政にめとらせよう。摂政を通じて頼朝を取り込もう。いざという時は人質にもできるし……」
しかし頼朝は近衛基通を排除して九条兼実(演:田中直樹)を摂政に推したかった事情から、これを断ります。
この時はたまたま政略的な利害が反したので破談になりましたが、もし後白河法皇が九条兼実との縁談を持ちかけていたら、頼朝はどうしたのでしょうか。