トンデモか否か!?意外と根強く残っている「武将・上杉謙信は女性」説を整理してみる【後編】

【前編】では、「上杉謙信=女性」説の論拠として挙げられる「スペインの書簡」「毎月の腹痛」について説明しました。

トンデモか否か!?意外と根強く残っている「武将・上杉謙信は女性」説を整理してみる【前編】

「上杉謙信=女性」説少し前の大河ドラマ「おんな城主 直虎」の直虎は女性でしたが、実は上杉謙信(うえすぎけんしん)にも「女性説」が存在します。[caption id="attachment_…

【後編】では、そのほかの論拠について説明します。

③「生涯不犯」の謎(1)

謙信女性説を補強する根拠としてよく挙げられるのが、彼が生涯独身で「生涯不犯」を貫いたとされていることです。それは女性だったからではないか、ということですね。

ちなみに一つ注意したいのは、謙信の「生涯不犯」は女性との性交渉を拒むという意味ではありません。これは「婚姻」を拒むものです。

実際、当時の戦国武将としては珍しく、彼には正妻も側室もいませんでした。小姓くらいはいたようですが。

戦国時代は、貴族が自分の娘を力のある武将の家などに嫁がせることも多くありました。また、この時代に「実子がいない」ことは大きなリスクで、彼の婚姻を頑なに拒む姿勢はちょっと異常です。

この「生涯不犯」の理由は、現在の研究者の間でもよく分かっていません。ただ、いくつかの説があります。

まず「同性愛者説」です。しかし、謙信が同性愛者だったのか、またそうだとすれば女性との婚姻を拒むほどの強い性向だったのか、はっきりした証拠はないので何とも言えません。

4ページ目 ③「生涯不犯」の謎(2)

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