お寿司の起源は「魚の漬物」
「お寿司」はなんだか不思議な食べ物です。海外の人に「日本の食べ物といえば?」と聞くと必ずと言っていいほど答えとして出てくる食べ物ですが、一方で私たち日本人にとっては、カップラーメンやおにぎりほど気軽に食べられているわけではありません。
回転寿司やスーパーでも安く気軽に食べられるのに、私たち日本人は心のどこかでは今でも「お寿司は特別なごちそう」と思っているのではないでしょうか。
自宅でなかなか握りずしを作って食べる、ということはしないので、外食限定の特別な料理というイメージなのでしょう。
では、昔はどうだったのでしょう? 特に江戸時代のお寿司の価値・値段などを見ていこうと思います。
まず、お寿司の中でもで一番メジャーな「握りずし」。
この握りずしのもとになったのは、江戸中期ごろに作られた「早ずし」と考えられています。早ずしは醸造酢を使って作られ、とにかくスピーディーに作ることができました。
岩波新書『すしの歴史を訪ねる』によると、お寿司の起源は「魚の漬物(保存食)」だったそうです。
漬け込むことで生じていた「酸味」がその味わいの特徴だったわけですが、いちいち漬け込んでいては食べるまでに時間がかかります。
そこで、魚の漬物が今のお寿司の形態に変化していく中で、味付けとして酢を使って酸味を補うようになったのです。
今もお寿司には酢を使いますが、それは手早く味付けをしてすぐに食べられるというスピーディーさと切っても切り離せない関係だったわけですね。