周囲を海で囲まれた国、日本。
となれば、太古の昔から日本人は夏となれば海水浴を楽しんでたと思いたくなりますが、それが案外、そうでもないようです。
日本におけるいわゆる「海水浴」は、一説によると幕末の頃になってようやく広まり始めたんだとか。じゃあそれまで日本人は海で何してたかといえば、漁をしたり、あるいは祈祷や禊ぎ絡みで入ったり、とにかく何か「用事」がある際に入ってたそうです。
単に「あまりに暑いから、海に飛び込む」みたいな行為が全然無かったかどうかは、わかりません。多分、大いにやってはいたでしょう。しかし、泳ぐ以外の「海水浴」、すなわちオイル塗って焼いたりパラソル広げたりBBQしたりナンパしたりといったレジャー的なる行為が浸透するのは、当然というか何というか、ずっとずっと後の話であります。
日本における最初期の海水浴は「塩浴」と呼ばれ、「塩水に体をつけて、悪い病気を治療する」という、まるで湯治のようなものと認識されてたそうです。ヨーロッパにおける創生期の海水浴も同様の認識を持たれており、幕末に日本へ紹介された際もやはり医療の一種と見なされたんだとか。そんな海水浴がレジャー化するのは、明治以降。鉄道の開通も、海水浴のレジャー化に一役買ったそうです。
極めて原初の喜びに満ちたレジャーのようで、実は意外と新しい、日本の海水浴。今年の海では、普通に遊ぶのもいいですが、原初の頃に戻り「塩浴」に励んでみるのも、いいのではないでしょうか。クラゲが増えてくると、じっとしてる「塩浴」は逆に危ないかも知れないけど・・・。
海水浴 – wikipedia
海水浴場 – wikipedia
海水浴の誕生 – 知ってなるほど 明治・大正・昭和初期の生活と文化 アジア歴史資料センター