令和3年(2021年)も早いもので、もう2/3が過ぎて9月になってしまいました。
まだもう少し暑さは続くものの、朝夕にジワジワ忍び寄る秋の気配に、何となく焦りを感じてしまうのは筆者だけではないはずです。
さて、そんな訳で9月ですが、昔は長月(ながつき)と呼ばれていたのは広く知られているかと思います。
しかし、何で長月なんでしょうか。旧暦はすべての月が30日で統一されているから長いも短いもありませんし、月を夜の長さと見るにしても、それなら冬至の方が長いはず。
それでもあえて旧暦9月を長月と呼んだのは、何か理由があるのでしょうから、今回はそれを調べて紹介したいと思います。
合わせて、9月には長月のほかにも色々呼び方があるそうなので、そちらも調べてみましょう。
秋の夜長を愉しむ月?
9月は何が長いのか。諸説あるようですが、「夜長月(よながつき)」が最も有力であろうと言われています。
「だから、夜の長さなら冬至の方が……」どうやら、そういうことではなさそうです。
昔から「秋の夜長」と言うように、夜とはただ暗く陰鬱とした時間ではなく、闇に映える花鳥風月を愛でる優雅なひとときでもありました。
そう考えると、確かに寒さ厳しい真冬よりも、9月の方が長月に相応しいと言えるでしょう。
別説として、夏が過ぎると長雨が多くなるため「長雨月(ながあめづき)」や、稲穂が実って長くなる「穂長月(ほながづき)」から転じたとも言われます。
また、長い以外に「ながつき」の由来としては稲を収穫する「稲刈月(いねかりづき)」または「(稲の)根刈月(ねかりづき)」がつづまって「ねかづき」、さらに訛って「ながつき」になったとする説もあるようです。
他にも稲が熟して実るため「稲熟月(いねあがりづき)」とも呼ばれ、それがつづまり、訛った結果「ながつき」とも言われています。
稲作文化の深く根づいた日本らしい語源ですが、筆者としては優雅な「夜長月」説を推したいところです。