アヘン戦争、黒船来航……幕末から明治にかけて、日本人の価値観は大きく揺さぶられ続けてきました。
「あの『眠れる獅子』と恐れられた清国さえを勝てなかったのだから、日本人ごときが欧米列強に太刀打ちなんて、とてもとても……」
力づくで開国させられ、不平等条約によってどんどん国力を削がれた明治政府は、この状況を何とか打破しようと、試行錯誤を続けます。
「日本を文明国と認めさせる(認めてもらう)ために、欧米化を進めよう!」
こうして建てられたのが、歴史の授業でもお馴染みの鹿鳴館(ろくめいかん)。建築技術の粋を集めた日本初の本格西洋建築でしたが、ビゴーの風刺画にもあるように、その他の欧化施策ともども「猿真似」と酷評されるばかりでした。
日本には日本のよさがあるのに、どうしてそこまで卑屈になるのか……心ある日本人は欧米列強に媚びへつらう政府を批判しましたが、当局は本気で「これも不平等条約を改正するため」と信じているため、聞く耳など持ってくれません。
その極めつけが井上馨(いのうえ かおる)。彼は大真面目に「日本人は劣等人種であるから、西洋人との国際結婚を奨励して『人種改良』を推進しよう」などと言いだす始末。
現代の価値感からすれば人種差別も甚だしい限りですが、さて、井上の暴走を誰か止めることが出来るのでしょうか……?