昔、7月が「文月」と呼ばれた理由は七夕に関係?他にもたくさんある7月の別名も紹介

♪ふづき たなばた ところてん
プール帰りは うじきんとき……♪

※やまがたすみこ「くいしんぼうのカレンダー」より

この「ふづき(文月)」とは7月の旧称ですが、どうしてこう呼ばれたのでしょうか?

子供のころ、近所のおじさんが「暑中見舞い=文(ふみ)を出すからだよ」と教えてくれたのを真に受けていましたが、よく考えてみれば手紙なんていつでも出すし、年賀状の方がよほどたくさん出されるはずです。

余談はさておき、せっかくなので文月(ふづき、ふみつき)の由来と、他にもたくさんある7月の別名について紹介したいと思います。

田んぼの稲が穂を含み、七夕で文を書く月

文月の由来をしらべてみると、田んぼの稲が穂を含み(=実をつけ)始める「穂含み月」が縮まったとする説や、7月7日の七夕で願い事を書いた短冊(=乙姫と彦星への文)を笹に結ぶことから文月と呼ばれるようになったという説があるようです。

また、蒸し暑い(旧暦7月は現代の新暦でおよそ8月)ので書物がカビや虫に傷まないよう風を通すことから、文の管理に注意を要する月といった説もあります。

※このバリエーションで文披月(ふみひらきづき。書披月)というのもあります。

他にも7月の別名はたくさんあるので、その中から面白いものを紹介していきましょう。

女郎花月(おみなえしづき)

女郎花の花が咲くのは8~9月、旧暦で7月に当たるため、このように呼ばれるそうです。

女郎花は『万葉集(まんようしゅう)』でも詠まれるほど古くから親しまれており、前栽(庭園の植え込み)や切り花など多く愛されてきました。また、生薬(根っこの敗醤根、花弁の黄屈花)としても活用されます。

また、花言葉は「やさしさ」「親切」「美人」だそうで、七夕の乙姫様にピッタリですね。

開秋(かいしゅう)

読んで字の如く「秋が開く」と書いて開秋。旧暦では7~9月を秋としており、まさに秋が開き、始まりを告げる月を意味します。

同じ意味で、首秋(しゅしゅう)、初秋(しょしゅう)、新秋(しんしゅう)、早秋(そうしゅう)、肇秋(ちょしゅう。肇=はじめ)、孟秋(もうしゅう。孟は長男の意)など、様々なバリエーションがあるので、手紙に使ってみてもいいですね。

建申月(けんしんげつ)

北斗七星の末端にある星(建)が申(さる)の方角を向くため、そのように呼ばれます。別名を申の月とも。

ちなみに、申の方角とは西南西か、それよりやや南を指すそうで、起点となる真北(子の方角)を指すのは旧暦11月(建子月)となります。

2ページ目 新涼、愛逢月、流火

次のページ

この記事の画像一覧

シェアする

モバイルバージョンを終了