ひな祭りの特別ゲスト?ひな人形に飛鳥時代の歌人・柿本人麻呂が飾られる理由とは

♪あかりをつけましょ ぼんぼりに
おはなをあげましょ もものはな
ごにんばやしの ふえたいこ
きょうはたのしい ひなまつり……♪

※唱歌「うれしいひなまつり」第1番。

3月3日はひな祭り(桃の節句)。女の子がいるご家庭では、思い思いにひな人形を飾ってその幸せを願います。

ひな人形にはさまざまなパターンがありますが、一般的なフルメンバーは以下の通りです。

一、内裏雛(だいりびな。雄雛と雌雛)
一、三人官女(さんにんかんじょ)
一、五人囃子(ごにんばやし)
一、随身(ずいじん。右大臣と左大臣)
一、仕丁(しちょう。怒り、泣き、笑い)

※よく雄雛(≒天皇陛下)を「お内裏様」と言いますが、厳密には雌雛(≒皇后陛下)とペアで「お内裏様」です。

ここに人形メーカーがオリジナリティを出そうと特別ゲストを登場(追加)させるのですが、以下の組み合わせが多いようです。

一、三賢女(小野小町、清少納言、紫式部)
一、鶴と亀(能の演者)
一、三歌人(小野小町、柿本人麻呂、菅原道真)

女の子のお祭りなので、賢く美しい女性に育って欲しいとの思いから三賢女は解ります。健康成就を祈る意味から、鶴と亀も納得です。

でも、三歌人(和歌にすぐれた三人)はどうして雛祭りに登場するのでしょうか。

小野小町(おのの こまち)は絶世の美女と言われましたから、美しく育って欲しいとの願いを込めて、菅原道真(すがわらの みちざね)は学問の神様として現代でも信仰されていますが、柿本人麻呂(かきのもと ひとまろ)はちょっと道真とキャラがかぶっている気がします。

平安貴族にとって和歌は教養の基礎でしたから、和歌にすぐれた人麿にあやかって、教養ある女性に育って欲しいという願いでもいいのでしょうが、どうしても小野小町や菅原道真と重複しているようでスッキリしません。

そこで今回は、柿本人麻呂がひな人形に登場する理由について調べてみたので、紹介したいと思います。

2ページ目 逆境にくじけない強さと、隠れなき和歌の才能

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