時は平安末期のこと。
奢れる平家に対し判然と反旗を翻し、怒涛の勢いで平家を都から追いやった木曾(源)義仲。
その傍らには3人の美女・巴御前・山吹御前・葵御前が甲冑姿も凛々しく控えていました。
有名な巴御前に比べると、山吹・葵の二人はあまり知られていません。今回は山吹御前に焦点をあて、その謎に満ちた生涯を紹介しましょう。
女性が武芸に励み地位も高かった時代
日本の歴史の大部分において、女性の地位は低いものでした。
戦国時代には政略結婚の道具に使われ、江戸時代になると江戸幕府が主導した儒教思想のもと女性の地位は著しく低下し、男尊女卑の風潮が蔓延してしまいます。
しかし、男性同様な地位を認められた時代もありました。その一つが、平安末期から鎌倉時代であったのです。
男性に替わり自ら弓や薙刀などの武器を手に敵と戦う
この時代は、源平争乱が起こった動乱の時代。武家の男性は戦闘のために領地や屋敷を空けがちになります。その間、男性に替わり女性が領地や家臣の管理などを行いました。
そして、もし敵が攻めてくれば、女性が家臣を率いて戦闘の指揮を執り、自ら弓や薙刀などの武器を手に戦ったのです。
この時代の武家の女性たちの多くは、幼い頃から男性同様に武芸の修練を積んでいました。強いはずですよね。