戦国時代にアフリカから日本へ? 織田信長に仕えた黒人従者「弥助」とは【前編】

一之瀬 陽平

戦国三英傑の一人「織田信長」。信長が異国の品や目新しいもの好きであったことは良く知られている。その中でも特異な存在として記録に残っているのが黒人の家臣「弥助(やすけ)」だ。

今回は【前編】【後編】2回にわたり、未だに謎の多い人物である弥助について考察する。

弥助の人物像と来日の経緯

本名や生年月日、出生地および家族構成など詳しいことはほとんどわかっていない。確かなことはイエズス会の宣教師「アレッサンドロ・ヴァリニャーノ」が連れていた黒人従者であり、後に織田信長に仕えたということのみだ。

ヴァリニャーノはイエズス会が世界の布教状況を査察するため日本に派遣した「巡察使」であり、1579年に初来日を果たしている。最初の訪問は1582年まで続いた。

当時の世界には人身売買が存在し、アフリカ人などヨーロッパ植民地地域の人間が、従者や奴隷として宣教師や巡察使に従い来日することは珍しくなかったという。

弥助の出身はアフリカのモザンビークであると考えられており、ポルトガル領であった。当時のポルトガルは奴隷貿易を行っていたため、弥助も人身売買の対象となり日本へ来日したと思われる。

3ページ目 身体的特徴とルーツの謎

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