きちんとした座り方は「正座」…昔からどこでもそうだったの?
葬儀や法事、改まった食事の席、武道の稽古や試合、時にはお説教をされるとき…私たちが「正座」をする機会って、意外とよくありますよね。
ところで
「なぜ正座をするの?」
と質問されたら、あなたはなんと答えますか?
「それは、正座はきちんとした丁寧な座り方だから…」
と答えたあなた、では
「なぜ『正座』はきちんとした座り方なの?」
と問われたら、答えられますか?
そもそもなぜ「正座」が「正しい座り方」になったのでしょうか?
これは日本独特の習慣なのでしょうか?
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アジアの近隣諸国でも昔の日本でも「きちんとした座り方」は違った
実は、昔の日本や海外の「正しい、きちんとした座り方」は違っていました。昔の日本の武士や貴族、僧侶などの肖像画を見てみると、現在の「正座」とはずいぶん違った座り方をしていることが分かります。
江戸時代以前の日本では、現在の「正座」に該当する「正しい、きちんとした座り方」は、「あぐら」でした。ですから、平安時代の装束である男性の袍や女性の十二単は、下半身部分が大きく作られており、正座よりあぐらに向いた作りとなっていました。
近隣のアジア諸国を見てみると、韓国でも正式な座り方は「あぐら」か「立膝」でした。『チャングムの誓い』などの韓国時代劇では、王や皇后など身分の高い人の前で、仕える人々がみんなそのような座り方をしています。
また中国では椅子に座るのが正式だったため、当時の中国の文化を取り入れた奈良~平安時代初期の天皇などが椅子に座り、足を組んだ肖像画も残っています。