死者と結婚するということから、怪談や都市伝説で恐ろしく語られることが多い「ムカサリ絵馬」ですが、本来は亡くなった人を想って残された家族が行っている風習なのです。
「ムカサリ絵馬」とは?
ムカサリ絵馬とは、山形県の村山地方に伝わる風習のこと。若くして亡くなった人のため、架空の人物との結婚を描いた絵馬を寺に奉納する風習を「ムカサリ絵馬」といいます。
あの世で「どうか幸せになってほしい」という、残された家族の想いがムカサリ絵馬には込められているのです。しかし、「死者との結婚」とだけ聞くと、なにやら恐ろしいと感じるのもまた事実。
ムカサリ絵馬では、あくまで架空の人物と結婚式を行い、実在する生きている人との結婚は禁忌とされています。
生きている人物を絵馬に描いてしてしまった場合、描かれた生者は死者にあの世に連れていかれるとか。このような性質から、怪談や都市伝説で語られるようになったのでしょう。
死者との結婚はアジアにも伝わっている
死者と結婚する風習は中国や東南アジアにも伝わっており、こちらは「冥婚(めいこん)」と呼ばれています。冥婚はムカサリ絵馬とは少し趣が違っており、基本的に亡くなった人の相手には人形を寄り添わせる場合が多い中、同時期に亡くなった人と結婚させて一緒に埋葬するケースもあります。
さらに、この冥婚が過激になるケースも近年報告されています。なんと、冥婚の相手を用意するため、実際に殺人にまで発展したケースが中国ではあるのです。中国では死者の願いを叶えないと罰が当たるといわれているので、残された家族の想いが過剰になり過ぎてしまったのでしょう。