長い両腕の先に錘(おもり)をつけて、一本足を支点にあっちへこっちへゆらゆら揺れる弥次郎兵衛(やじろべゑ)人形。
力学の基本モデルとして小学校のころ、図工の時間に竹串とコルクで色んな形に作って楽しんだ記憶があります。
倒れそうで倒れない、ユーモラスな動きが強く印象に残るこの弥次郎兵衛ですが、そのネーミングはどこから来たのでしょうか。
名前のルーツは十返舎一九『東海道中膝栗毛』から
弥次郎兵衛と言えば、どこかで聞いたことが……そうだ、十返舎一九『東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)』に登場する主人公の名前です。
本作は弥次郎兵衛が相棒の喜多八(きたはち)と一緒に江戸からお伊勢参りの旅に出る物語ですが、道中に繰り広げる滑稽なエピソードの数々と、担ぎ棒に括りつけた旅荷物の重さによろめく姿がまるで弥次郎兵衛のようだとして、いつしかこの人形が弥次郎兵衛と呼ばれるようになったそうです。
ちなみに、相棒の喜多八は滑稽ながらも一応イケメン(自称)枠&ツッコミ担当みたいなポジションなので、徹頭徹尾ボケ担当な弥次郎兵衛の方が、より適任?とされたのでしょう。「ヤジロベー」って語呂も何だかユーモラスですし。
3ページ目 与次郎、豆蔵、正直正兵衛……他にも色んな呼び方が!