現代ではあまり注目されていないようですが、9月9日は昔から「重陽(ちょうよう)の節句」と呼ばれ、一年間の大きな節目に当たる「五節句」の一つに数えられています。
又の名を「菊の節句」とも呼ばれるこの行事について、今回は紹介したいと思います。
重陽とは
まず、重陽とは文字通り「陽が重なる」ことを意味しており、ここで言う陽とは奇数のことを表わしています。
これは古代中国大陸から伝わった陰陽思想に基づくもので、陰(いん。マイナス)と陽(よう。プラス)のバランスが世界を調和させるため、陰陽のどちらに偏っても良くないと言われています。
特に奇数の最大数である9が重なる9月9日は、夏の暑さで蓄積された疲労が心身に不調をもたらしやすい時期でもあることから、特に注意が払われました。
そこで邪気祓いとして重陽の節句が始まったのですが、やがて陽の重なりをめでたい事と考える逆転の発想から、秋を迎える季節の節目としてお祝いされるようになったそうです。