仏教における死後の世界観「地獄」と「極楽」に対して人がどのように関わってきたのかを探る特別展「東国の地獄極楽」が開催されます。
地獄と極楽の観念は、仏教における死後の世界観として古来人々の関心を集めてきました。戦や度重なる天災に見舞われてきた古来の人々は、今日以上に”死”とうものを意識していたことでしょう。
そんな中で育まれたのが、苦しみ多き娑婆(しゃば)世界を厭(いと)い、極楽浄土を求める浄土信仰の美術。
本展では、中世以降の東国において人々が、地獄極楽といった死後の世界とどう向き合ってきたのかを美術品や歴史資料を中心に探っていくというもの。
熊谷直実蓮生(くまがいなおざねれんせい)ゆかりの作品が集結
「坂東の阿弥陀仏」と言われた直実には、ゆかりの仏教美術作品がいくつも知られています。中でも名品中の名品、重要文化財「絹本着色迎接曼荼羅(ごうしょうまんだら)」(京都府・清凉寺)が出陳。
東国の浄土信仰の歴史をたどる
東国では、蓮生が交流した僧侶、法然(ほうねん)の創始した浄土宗が広まります。その教えは、人々の来世への不安を背景とし、数多くの著名な僧侶たちの活躍によって広められました。本展では、地獄極楽への思いの裏に隠された、知られざる東国の歴史をわかりやすく紹介。
あこがれの極楽浄土、そして、怖いけれど見たくなる地獄の様相
地獄極楽への思いは、人々の想像力を刺激し、様々な「あちらの世界」の様相が造形化されました。本展では、美しくきらびやかな極楽浄土の図や、恐ろしい責め苦の光景がリアルに、そして親しみやすく描かれる地獄図を、埼玉県の作例を中心に紹介します。
特別展「東国の地獄極楽」は2019年3月16日(土)~5月6日(月・振休)の期間、埼玉県立歴史と民俗の博物館で開催されます。