戦国時代、戦場で敵味方の判別や、陣地を示すため、または武将の存在を誇示するために使われた「馬印」という印があります。
馬印は武将それぞれに使用する絵柄はほぼ決まっていて、徳川家康の金扇、武田信玄の風林火山などは時代劇の戦場シーンで印象に残っている人も多いでしょう。
そんな武将の馬印をただひたすらに紹介しまくった江戸時代の巻物が、今回紹介する「御馬印(おうまじるし)」。
「御馬印」は、江戸時代の寛永年間(1624年-1645年)に制作されたものとみられている全6巻からなる巻物で、なんと総計170人の戦国武将の馬印が紹介されているのです。
紹介されている馬印は徳川家康、織田信長、豊臣秀吉などすごい顔ぶれ。なお旗の形をしたものを「旗印」と言い、旗印も合わせて紹介されています。
それにしても武将それぞれに個性のあるバラエティ豊かな馬印ですね。カブらないようにするためにかなり苦労したんですかね?
彩色は手彩色によって金銀色が使われており、朱、藍、白などは型紙や版木によって彩色したものとされています。歴史資料として価値があるほか、当時の彩色技術を知るうえでも貴重な資料と言えるでしょう。
各巻の最初には目録が記されていますので、照らし合わせながら馬印を見ていくと良いでしょう。戦国ファンにはたまらない資料かと思います。
戦国武将の馬印をただひたすらに集めた「御馬印」は、国立国会図書館デジタルコレクションで無料公開されています。