大河ドラマ「西郷どん」。9月23日に放送された第36話「慶喜の首」では、慶喜は新政府軍と戦う家臣らを置いて江戸へ逃亡しました。一緒に船で江戸へ逃れたのが、妾(めかけ)である「ふき」です。
高梨臨さん演じる「ふき」は、薩摩出身の貧しい農民の娘でした。貧しさ故に売られていったふきは、めぐりめぐって江戸の品川宿で「お芳」という名で働いていたのです。ドラマでは「ヒー様」こと徳川慶喜といい関係になり、妾となって京や大坂まで一緒についていくほどの仲として描かれていましたね。
この「ふき」、実はモデルとなる人物がいたのです。
慶喜の妾のひとり「お芳」
実在したお芳はどのような人物だったのかというと、江戸の町火消である新門辰五郎の娘でした。この父は火消しとしてだけでなく侠客としても知られた人物で、かなりの財力を持っていました。それだけ名をはせた人物なので、現在もドラマなどで登場することもあります。
新門辰五郎は、娘のお芳が慶喜の妾になったことから、慶喜上洛の際に二条城の警護などを仰せつかっていたのだとか。慶喜だけでなく、父の徳川斉昭とも関係があった人物でした。
ドラマのふきとは違い実家には財力があったのですね。
慶応4年、慶喜が大坂城からひっそり脱出した際、お芳も幕府所有の軍艦・開陽丸に同乗して江戸へ帰ったとされています。ドラマ第36話では、ふきは慶喜に別れを告げて去っていきましたが、お芳も明治維新以降は慶喜のそばにはいなかったようです。