日本の夏は高温多湿なことで知られていますが、中でも食欲が落ちてしまうのは困りますね。そんな時に有り難いのが、簡単に食べられる麺料理です。それは、日本独特の文化が栄え始めた平安期も同じでした。本項では、それを紹介していきます。
茹でたの?それとも揚げたの?日本最初の麺は謎だらけ
米や雑穀を粒のまま食べるのを好んだ日本人が麺を口にしたのは、粉食が普及していた大陸諸国との交易が活発化した奈良時代から平安初期にかけてでした。この頃に入って来た麺は索餅(サクベイないしはムギナワ)と呼ばれる、うどんのような食品です。
この索餅は当時の文献にも載るくらいに有名でしたが正体は諸説があり、茹でて食したとも、縄状にした小麦粉の生地を揚げたお菓子であったとも言われます。食べ方としては生姜やミョウガを添えて二杯酢のような調味料で和えたとも、胡麻油や糖、塩などを加えたりと、まるで現代のまぜそばか冷やし中華を思わせる食べ方もあったそうです。
また、名前通りに小豆を添えて餅のように食べる、甘いデザートのようなレシピもあったとされ、平安時代の麺類は初期段階でありながら、非常に豊富なレパートリーがありました。