江戸幕府が開かれたときには、江戸っ子がいたわけではありませんでした。じゃ、いつからなのかというと、18世紀後半に、老中の田沼意次を中心に重商主義政策へ変換した時期。江戸商人が力をつけ始めて、江戸独自の文化が開花した時代です。
江戸っ子気質が誕生した背景
この頃、江戸は政治的に日本の中心であり、且つ人口100万人を超す大都市で経済的にも潤っていました。そこで、稼いだお金はケチケチせず豪快に使う、という江戸っ子の気質ができたわけですね。
江戸は武士と町人がほぼ同数ということもあり、江戸の町を歩けば、町人と武士とがすれ違うことも常でした。ここから、町人の「てやんでい、武士が怖くてやっていられるかい」という威勢の良さが生まれたのです。
江戸には仕事を求めて地方から人々が流入し、様々な人が住んでいたので、お互いにプライバシーを守り快適に過ごすために、初対面の人には年齢や家族、出身地などについて尋ねないという暗黙のルールも生まれました。一方では、江戸に生まれ育った人たちが、江戸ならではの美意識ってなんだろうと追究するようになったんですね。
当時の時代背景のいくつかの要因が、人情に篤くて粋な江戸っ子の誕生につながったようです。