大船名物の白くて大きな観音様
JR大船駅に近付くと、大きくて白い観音様が森の中からにょっきりと顔を出しているのが、車窓から見えてきます。
この真っ白な観音様は、この地域ではおなじみの「大船観音」ですが、その詳細についてはあまりご存知ない方が多いのではないでしょうか?
大船観音へは、JR大船駅西口から徒歩約10分ほどで到着します。距離で言えばそれほど遠くはありませんが、少し急な「山道」とでも言うべき上り坂を上がっていくため、良い運動になります。階段を上り切ると、この観音様が鎮座する曹洞宗の寺院「大船観音寺」の入り口に到着します。
大船観音の正式名称は、「巨大白衣観音像」。遠くから見てもインパクト大の観音様ですが、間近で見ると更に大きさに圧倒されます。
このお寺には大船観音の他にも、原爆による犠牲者を弔う祈念碑や戦没者の慰霊碑など、戦没者を弔う記念碑が数多く祀られ、沢山の千羽鶴が奉納されています。穏やかな表情で人々を身守り続ける大船観音には、「平和への祈り」も込められているのです。
地質の問題により、胸から上だけに
しかしこの観音様、よく見ると、胸から上の部分しかないではありませんか。JRの車窓から見ると、大きな観音様が森の中に立っているように見えるため、これは意外な事実です。
そのため「大船観音の下半身は、地中に埋まっている」という都市伝説が、まことしやかに囁かれていますが、実際には立像になる予定だったのが、「ある事情」により、胸から上のみの胸像に変更されたのでした。
「ある事情」とは、地質の問題です。大船観音寺のある場所は地質が軟らかい為、立像では耐えられないと判断され、最終的に現在のような胸から上だけの像となりました。
大船観音のサイズは、高さ25m。もしも予定通り立像になっていたら、あの鎌倉の大仏より10m以上も大きな仏像となっていたことになります。
ちなみに、大船観音は外から眺めるだけでなく、後ろ側から胎内に入ることもできるようになっています。その中には、縮小されたサイズの観音像と共に、大船観音建立の歴史についての説明があります。
ゆるキャラも登場!
2012年6月には、この大船観音をモチーフとしたゆるキャラ「のんちゃん」も登場しました。
可愛らしい満面の笑みが印象的なのんちゃんは、観音様が「大船観音から抜け出した妖精」という設定のキャラクターで、鎌倉市内のイベントなどで活躍しています。
こちらは、大船観音寺で購入できる、ミニチュアの「大船観音」です。