薄緑の奥深い輝きをもつヒスイは、古代の日本人に最も愛された宝石だと言われています。縄文時代の大きな集落跡からは、しばしばヒスイの珠が出土します。珠とは装飾品の一種で、穴に紐を通してペンダントヘッドのように使ったと考えられるものです。
ヒスイの珠は縄文時代のステータスシンボルだった
それは単なる美しい装飾品ではなかったようです。縄文人は薄緑色に潜む輝きに何らかの意味を持たせ、ムラの権力を象徴するステータスシンボルとして保持していたとされています。
当時のヒスイは現在のダイヤモンド以上に高価であったと考えられ、物々交換などの交易によって各地に広まっていきました。
南は九州から北は北海道までの大きな集落跡に、たいていは1つか2つ、多くても数個が見つかり、小さな集落跡から見つかることは殆どありません。
なかでも大珠(たいじゅ)と呼ばれる大きなものは希少品で、その地域における中心的な役割を担う大きなムラだけが持つことができました。
