石川県金沢市の石川県立美術館で、北陸中日新聞発刊65年記念「北斎・広重 大浮世絵展 -巨匠対決!夢の競演 あなたはどっち派?-」が開催されます。
葛飾北斎(かつしかほくさい)は「冨嶽三十六景」に代表される、巧みな線による大胆な構図と、北斎色といえる象徴的な色使いによる独創的な画風で森羅万象を描きました。
一方の歌川広重(うたがわひろしげ)は、名作「東海道五拾三次之内」を世に送り出した浮世絵師です。卓抜した画面構成はあくまでも人間を主役とし、抒情に満ち躍動感あふれる風景画は、後期印象派の画家たちを魅了しました。
本展は、日本有数の浮世絵コレクター・中右瑛氏所蔵の名品から、北斎の「冨嶽三十六景」、広重の「東海道五拾三次之内」という二人の代表作をはじめ、「忠臣蔵」「東海道五十三次」といった二人が共通するシリーズもの、役者絵、妖怪絵、滑稽絵など約200点で幅広く紹介する展覧会となります。
テーマ別、対決方式の展示
ただの展示ではなく、章ごとにテーマを設けて、北斎・広重、二人が描いた日本各地の風景画を比較展示したり、浮世絵の流通・制作には欠かせなかった「版元」に焦点を当てた作品展示など、テーマ別の対決形式で紹介し、江戸時代を代表する二人の絵師の魅力が存分に伝わる展示内容になっています。
「東海道五十三次」対決 ― 旅・風物・グルメ
《東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景》に代表される広重の作品は有名ですが、実は北斎は、広重に早まること約30年以上前、享和~文化年間(1801~1817)に7種の「東海道五十三次」シリーズを描いているのです。本章では広重の代表作「東海道五拾三次之内」と、北斎の「東海道五十三次・絵本驛路鈴」を比較展示します。
「歌舞伎」対決 ― 役者絵・武者絵・忠臣蔵
現代においても、日本人に人気の高い歌舞伎の演目「忠臣蔵」。歌舞伎だけでなく、映画やドラマで繰り返し登場するこの忠義の物語は、発表当時も大ブームを巻き起こし、浮世絵師たちはこぞって「忠臣蔵」を描きました。本章では、北斎と広重が描く「忠臣蔵」を比較展示するとともに、二人が描いた役者絵、武者絵を紹介します。
「版元」対決 ― 代表作とヒットメーカー
江戸時代の版元は、企画立案から印刷・販売までを一貫して管理し、浮世絵の制作・流通を担っており、売れ行きを大きく左右する存在でした。本章では、北斎の代表作「冨嶽三十六景」と広重の代表作「名所江戸百景」を展示するとともに、それらの作品のヒットの裏にいた「西村屋与八」と「魚屋栄吉」という二人の版元を紹介します。
展覧会「北斎・広重 大浮世絵展 -巨匠対決!夢の競演 あなたはどっち派?-」は、2025年9月6日(土)~10月5日(日)の期間で開催されます。
