運慶とは
運慶(うんけい)は、鎌倉時代を代表する仏師です。仏師とは、仏像を専門に作る彫刻師のこと。東大寺南大門の金剛力士像(仁王像)や円成寺の大日如来像を作製したことで知られています。
その運慶が活躍したのは、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけてです。日本の仏像彫刻を語るときには筆頭に挙げられる人物だと言ってもいいでしょう。
その作品の力強い表情と体格、写実的で存在感のある衣文など、確立された独特の作風は、今でも私たちに感動を与えてくれます。
彼は仏師であると同時に彫刻家、すなわち芸術家でもありました。こうした彼の取り組み方と作風は、あとに続く仏師・彫刻師に多大な影響をもたらしました。
現在は、運慶が手がけたと確定している現存作の多くが国宝や重要文化財に指定されており、日本国内のみならず世界的にも高い評価を得ています。
仏像は人々にとって信仰の対象でしたが、運慶の作品によって優れた美術品でもあることが広く認知されるようになったのです。
さて、当時、そんな運慶に作品を依頼すると、そのギャラはいくらくらいだったのでしょうか?
昔の人は今よりも信仰心が強かったので、仏師は見返りを求めないようなイメージがあるかも知れませんね。
ところが、実は運慶が莫大なギャラを要求していたことを伺わせる記録が残されているのです。それは、岩手県平泉で、藤原基衡が作製を依頼した時のことでした。