日本では少子高齢化が進んでいますよね。子どもの数が減っていることは社会に大きな影響を与えますが、実は日本にある「方言」のなかにも、消滅の危機が迫っているものがいくつかあります。
そこで、今回の記事では、そんな消滅の危機にある方言やその歴史についてわかりやすく解説し、方言を残していく取り組みについてもご紹介していきたいと思います。
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日本を含め、世界の多くの言語が危機に瀕している
平成21年にユネスコ(国連教育科学文化機関)が「Atlas of the World’s Languages in Danger」を発表しました。これは、世界の消滅の危機にある言語をまとめたものです。
これによると、世界には約2,500もの言語(ユネスコは「方言」という言葉は使わず「言葉」という単語で統一しています)が消滅の危機にあり、そのうち8つは日本の言葉(方言)と言われています。
その8つの言葉とは、
- アイヌ語
- 八重山語(方言)
- 与那国語(方言)
- 八丈語(方言)
- 奄美語(方言)
- 国頭語(方言)
- 沖縄語(方言)
- 宮古語(方言)
です。
特にアイヌ語は「きわめて深刻」、八重山語と与那国語は「重大な危機」に分類されています。そのほかの6つは「危険」に分類されています。
アイヌ語の特徴・歴史と受け継いでいく取り組み
アイヌ語は、日本語とは異なる言語と言われています。特に文章の構成や言葉の響きが異なります。また、アイヌ語は、特定の文字で表記する方法が決まっていませんが、これはアイヌの文化では書くことよりも記憶することが大切にされてきたという背景があります。
ただし、アイヌ語を残していくことを目的として、約100年前からローマ字やひらがな・カタカナを使って書き残していく取り組みも行われてきました。
アイヌ語が徐々に話されなくなっていった理由は、明治時代以降の日本語による教育をはじめとするアイヌ民族の同化政策でした。将来を考え、子どもにアイヌ語ではなく日本語を身につけさせようとした親も多かったと言われています。
アイヌ語を守る取り組みとしては、『アイヌ神謡集』『アイヌ語法概説』などの書籍をはじめ、2019年にはアイヌ語の学習コンテンツ「Ainu on Drops」というアプリも登場しています。学習教材が少ないアイヌ語について、多くの人が学べるようになっています。