親、子、孫まで三代にわたって日本画の美をそれぞれに追い求め、その功績で文化勲章を受章した上村松園、松篁、淳之の三人の画業を紹介する展覧会「文化勲章 三代の系譜 上村松園・松篁・淳之」が開催されます。
上村松園は、格調高い美人画で1948年に女性として初となる栄誉に輝きました。松篁は自然を描く新たな日本画表現を追究して1984年に受章。そして2022年、鳥の姿を通じて自然の神秘を描写し続けてきた淳之が受章しました。
それぞれモチーフや画風は異なりますが、描くことへの情熱や根底にある美意識が世代、時代を超えて静かに受け継がれ、現代に繋がれています。
上村松園(1875年-1949年)は、明治・大正・昭和という激動の時代に生き、美人画の第一人者として女性で初めて文化勲章を受章した日本画家です。
松園の息子、上村松篁(1902年-2001年)もまた、幼い頃から絵を描くことが好きで、母から買い与えられた木版画の花鳥画譜を飽かず眺めて過ごす少年でした。松篁はのちに「母は私に絵を教えようとしたことは一度もなかった」と回想していますが、自宅の画室に籠って絵を描いている母の背を見て育ち、長じてもたゆまぬ精進を続け、画業の道に入ります。
松篁の息子、上村淳之(1933年-)は、勉学では理数系の分野を得意としていました。祖母の松園も父の松篁も当初、淳之が画家の道に進むことに強く反対していましたが、大学受験を前にして絵を描きたいという思いを抑えきれず、京都市立美術大学(現在の京都市立芸術大学)に進学。
本展では、上村家三代の50余点の作品を展示。日本画の美を継承してきた、上村家三代の作品が堪能できるでしょう。
展覧会「文化勲章 三代の系譜 上村松園・松篁・淳之」は、2024年4月17日(水)→5月6日(月・休)の期間、日本橋高島屋S.C. 本館8階ホールで開催されます。