ビフテキは「ビーフステーキの略」…ではない
昭和以前の昔の小説や漫画を読んでいると、「ビフテキ」という言葉がよく登場します。全体のニュアンスから、高級な肉料理というのは分かるのですが、そもそもビフテキを見たことも食べたこともない、という人は多いのではないでしょうか。
答えを言ってしまうと、ビフテキとはビーフステーキのことです。ステーキは、英語の起源である古い言葉で「串に刺して焼いた肉」を意味する単語「steik」が語源だとか。
それなら、ビフテキとはビーフステーキの略語なのか? と多くの人は考えることでしょう。
しかし、これが違うので少しややこしくなります。ビフテキの正式な語源はフランス語の「ビフテック(bifteck)」に由来するというのが正解です。
つまり、内容的には「ビフテキ=ビーフステーキ」なのですが、語源的には「ビフテキ=ビフテック」なんですね。ちなみにイタリア語では、ビーフステーキのことを「ビステッカ(Bistecca)」と呼ぶそうです。
しかも、さらにややこしいことに、フランス語のビフテックはビーフステーキもポークステーキもすべてひっくるめて「ステーキ全般」を指すらしく、厳密にいえば日本のビフテキはフランスのビフテックの一種、ということになるのです。
そういえば豚肉のステーキを意味するトンテキという言葉もありますね。これは「トン(豚)」と「テキ(ステーキ)」の合成語なので、完全に日本由来です。