今日は東京都心でも積雪が観測され、関東甲信越地方では交通機関の乱れが生じていますが、この記事では、江戸時代、日本で初めて観察された雪の結晶がまとめられた書物を紹介します。
雪の結晶って江戸時代にすでに観察されていたの、知っていますか?六角形になる雪の結晶は2つとして同じものは存在しないと言われていますが、江戸時代の日本では顕微鏡を使って雪の結晶の観察が行われていました。
日本で初めて観察された雪の結晶がまとめられた書物が「雪華図説」(せっかずせつ)というもので、古河藩第4代藩主であった土井利位によってまとめられました。後に続編の「続雪華図説」も出版されました。雪の結晶を「雪華」と称したセンスもとても素敵ですね。
土井利位はオランダから輸入された顕微鏡を使用して雪の結晶を観察。初めての雪の観察書ということで非常に高い評価を受けたそうです。土井利位は20年にわたり雪の結晶の観察を行い、雪華図説には86種もの結晶スケッチが収録されています。さらに続雪華図説には97種の結晶スケッチを収録。
雪華図説によると、当時の観察の方法は以下。(茨城県古河市公式ホームページより)
- 雪が降りそうな寒い夜、あらかじめ黒地の布を外にさらして冷却。
- 舞い落ちる雪を、その布で受ける。
- かたちを崩さぬよう注意して、ピンセットで取り黒い漆器の中に入れる。
- 吐息のかからぬよう「蘭鏡(顕微鏡)」で観察する。
現在では雪の結晶は学校で習うので誰もがその形を想像できますが、江戸時代の人たちはどれほどの驚きを持ってこの雪華図説を読んでいたのでしょうね。
現代では市販の顕微鏡で観察できるので小学生などでも自由研究のテーマにできるほど手軽に行えると思いますが、当時の研究環境の状況を考えると雪華図説のスケッチには感慨深いものがあります。