光り輝くような美貌の持ち主・光源氏は、艶やかな女性遍歴の持ち主なので「光源氏=女好き」のイメージがあります。
けれども、実は平安時代では貴族の間で当たり前のように流行っていた「男色」を匂わせる描写もいろいろあるのです。
想いを寄せた女性に素気無くされ、自分を慕う彼女の弟である10代の少年を愛でたりなど、読者の想像が膨らむような艶やかな場面があります。
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源氏物語の主人公・”女好き”の光源氏、実は男性も恋愛対象だった![前編]【光る君へ】
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人妻への愛が徐々に想いはその弟へと…
なぜ、光源氏は10代の少年に愛情を抱くようになったのでしょうか。
「気位の高い上流階級の女性より、気取らない中流階級の女性のほうがいい」と、年長のいとこで・親友で・恋のライバルだった「頭中将(とうのちゅうじょう)」から聞いていた光源氏。
ある日立ち寄った邸宅で、中流階級の女性「空蝉(うつせみ)」に出会います。地味な容貌ながらも慎み深く知的で品のいい彼女に強く惹かれていく光源氏。何度もアプローチをしますが人妻である空蝉は断り続け、光源氏が部屋に忍び込んでも上着のみを残し、するりと逃げてしまいます。
※一説によると「空蝉」は紫式部がモデルとも言われています。
自尊心を痛く傷つけられた光源氏は、空蝉との間と取り持ってもらうために彼女の弟・小君に目を付け、手紙を渡し逢い引きができるよう手配を頼むのです。
まだ12〜13歳ほどの少年だった小君は、光源氏の美しさに魅せられていろいろ手助けするのですが結局は失敗。がっかりした源氏は、夜、小君を自分のそばに寝させます。
「よし、あこだに、な棄てそ」とのたまひて、 御かたはらに臥せたまへり。 若くなつかしき御ありさまをうれしくめでたしと思ひたれば、つれなき人よりはなかなかあはれに思さるとぞ。
「せめてお前だけでも、私を捨てないでくれ。」……と、隣に寄り添う小君に囁く光源氏。