本来であれば仕事をしていなければいけないとき、本を読んでいたり、音楽を聴いていたり、はたまたちょっとどこかに出かけてしまったり……。
実際にそんな経験をしたことがあるかどうかはともかく、そのような衝動・誘惑を感じたことがあるという方も多いのではないでしょうか?うまくやれば上司に見つからずに済むかもしれませんが、見つかってしまったらさあ大変!
そんなピンチの状況、実は『万葉集』にも見られるんです。いったい、何に夢中になりすぎていて上司に怒られてしまったのでしょうか?
今回ご紹介する歌は……
今回ご紹介する歌は、『万葉集』の巻の6、949番の、「梅柳過ぐらく惜しみ 佐保の内に遊びしことを 宮もとどろに」というものです。現代語訳は、「今が良い季節の梅や柳。
その季節が過ぎてしまうのが惜しくて、梅や柳を楽しむために、佐保川の内で遊んでいただけで、宮中が大騒ぎになってしまった」といったところでしょうか。
言語学や古典において面白いポイントは「梅柳」
この歌の最初の言葉が「梅柳(うめやなぎ)」です。万葉時代、特にもてはやされたのが梅だったと言われています。『万葉集』にも、119首の歌に、何かしらの形で梅が詠まれています。ちなみに、もっと人気だったのでは?と想像できる桜ですが、こちらはたった
37首。桜と比べても、梅がどれほど人気だったのかわかるのではないでしょうか。
ちなみに、奈良時代になると、梅は貴族の屋敷や平城京の街路に植えられたといいます。