今年も始まった!奈良に春を告げる伝統行事・東大寺お水取り

高野晃彰

四季折々に表情を変える日本の自然。そんな日本には、様々な春の訪れを告げる行事があります。

中でも有名なのが、奈良・東大寺二月堂で行われる「修二会(しゅにえ)」「お水取り」ではないでしょうか。今回は、今年で1,272回という、とてつもなく長い歴史をもつ「修二会」についてお話ししましょう。

一度も絶えることなく続く「不退の行法」

東大寺二月堂の「修二会」は、奈良時代の中期・752(天平勝宝4)年に、東大寺開山良弁僧正の高弟、実忠和尚が創始しました。2023年には、1,272回を数えます。

東大寺は、その長い歴史の中で2度、伽藍の大変を失う憂き目にあっています。しかし、「修二会」のみは「不退の行法」として一度も絶えることなく、連綿と今日にまで引き継がれてきました。

修二会が始まった奈良時代は、天災・疫病に見舞われ、さらに皇位継承に絡む貴族間の血で血を洗う争いが頻繁に起こった時代でした。

当時、こうした凶事は、国家の病気と考えられ、「修二会」は、それを取り除くことにより、鎮護国家・天下泰安・風雨順時・五穀豊穣・万民快楽など、人々の幸福を願う宗教行事とされたのです。

2ページ目 大松明を担ぎ、振り回しながら駆け抜ける童子

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