みなさんは、笠郎女(かさのいらつめ)という人物の名前を聞いたことがありますか?そもそも、漢字の読み方が難しく、また学校の授業などではなかなか取り上げられない人物だと思いますので、ご存じの方は多くないかもしれません。
笠郎女は、女性の歌人で、奈良時代の中期に活躍しました。『万葉集』に29首も自分の歌が収載されるなどの功績があります。
そんな彼女ですが、とある有名歌人に熱烈な歌を贈り続けたことでも有名。一体、その相手の歌人とは、だれなのでしょうか?
笠郎女(かさのいらつめ)とは?
笠郎女の生年や没年はわかっていませんが、奈良時代の中期に活躍した女性の歌人です。奈良時代の歌人、笠金村(かさのかなむら)の娘という説もあります。なお、「笠郎女」という名前は「笠家の女性」という一般名詞で、固有名詞ではありません。
笠郎女は同じく『万葉集』の代表的な歌人である大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)と並んで称されます。笠郎女の歌は『万葉集』に合計29首収載されており、これは女性では大伴坂上郎女に次ぐ多さです。この29首すべてが、とある有名な歌人への恋の歌だと言われているのです。
笠郎女の恋した相手とは?
『万葉集』に入集(にっしゅう:歌集や句集などに作品を選んで入れること)されている笠郎女が詠んだ歌29首は、彼女が恋焦がれた歌人、大伴家持(おおとものやかもち)に対するものでした。彼女の歌は短歌の形式をとっており、その三十一文字には、熱い想いが込められています。
ちなみに、大伴家持は多くの女性から好かれていたようです。彼と相聞の歌を交わした女性は何人もいるようですが、歌のスキルという観点でいえば、笠郎女がもっとも優れているとされています。