【幕の内弁当】
まくのうち‐べんとう 〔‐ベンタウ〕
俵形の握り飯とおかずとを詰め合わせた弁当。芝居の幕間(まくあい)に食べるものとして考案され、現在では最も一般的な弁当になっているもの。
デジタル大辞泉
白飯に数種類のおかずが彩りよく詰め合わせた「幕の内弁当」は日本全国、老若男女に根強い人気を誇るお弁当。
お弁当といえば幕の内、といってもいいほど。バランスよく彩りよく、少しずついろんな食材を頂ける幕の内弁当はおいしい上にヘルシー。長い間、愛され続けている理由の1つです。
幕の内弁当の具やレシピをもう一度おさらい
中身の具の基本形は「ごまをかけて俵型に小さくにぎった白飯」に幕の内弁当の三種の神器「卵焼き」「かまぼこ」「焼き魚」と「揚げ物」「煮物」「漬け物」「佃煮」などを詰め合わせたもの。駅弁などでは使い捨ての折り詰めに入れられていますが、芝居小屋では重箱に入れられ、容器は回収されることもあります。
ごはんは俵型のおむすびが入っていることは稀で、俵型のように型押しされていることがほとんど。型押しなしの場合もあります。おかずにハンバーグやソーセージ、オムレツなどが入っていると「洋風幕の内」と称されます。いずれも汁気のないおかずを少しずつ複数詰め合わせるところが最大のポイント。
ごはんとおかずの組み合わせが似ているため、お弁当箱が十字に仕切られた「松花堂弁当」と混同されることもありますが、似て非なるもの。松花堂弁当は料亭「吉兆」の湯木貞一さんが広めました。
幕内弁当の由来とその名前の語源は?
日本でのお弁当そのものの歴史は5世紀ごろと古いのですが、幕の内弁当自体の由来としては、登場は江戸時代の後期と言われています。この頃に料亭などがお弁当の製造販売をするようになり、芝居小屋でも食べられるようになったことが由来しているそうです。
明治時代に入り、兵庫県のまねき食品が握り飯ばかりだった駅弁のメニューに幕の内弁当を導入したことで、駅弁の1つとして全国に広まりました。当時は使い捨ての経木の折詰に入れられて販売されたようです。現在でもスチロール製の容器に木目がプリントされているものが多いですよね。
どうして「幕の内弁当」と呼ばれるのか、その語源には諸説あるようです。
- 芝居の幕間(幕の内)に観客が食べるお弁当だから
- 役者が幕の内側(舞台裏)で食べるから
- 幕間に役者が食べたお弁当だから管野浩編 『雑学おもしろ事典』 p.257 日東書院 1991年
- お弁当の中の小さなおむすび=こむすびを相撲で幕内番付の小結とかけて
- 江戸芳町の「万久(まく)」が売り出していたことに由来するとの説管野浩編 『雑学おもしろ事典』 p.257 日東書院 1991年
「幕の内弁当と番付の幕内とは関係がない」との説もありますが、いずれにせよ、芝居小屋や、相撲茶屋など江戸の庶民の娯楽につながるイメージがあります。娯楽とは切っても切れないお楽しみの1つだったのではないでしょうか。
現在でも、観劇や相撲観戦の時にいただく幕の内弁当が愉しみ、という方も多いようです。