世の中「噓も方便」とはよく言ったもの。必ずしも事実でないことが、わが身も相手も助けるのはよくあることです。
もちろんあまり嘘ばかりでは信頼されなくなってしまいますが、嘘によって却って知恵を示し、より信頼を高めることもあるというもの(もちろん、ある程度の信頼関係があることが前提となります)。
今回は江戸時代の武士道バイブルとして知られる『葉隠(はがくれ。葉隠聞書)』より、こんなエピソードを紹介。
主人公の小山平五左衛門(おやま へいござゑもん)、一体どんな嘘をついてみせるのでしょうか。
誰が最初に母衣を外した?主君の詰問に平五左衛門の答えは
今は昔し、戦国大名の鍋島直茂(なべしま なおしげ)が高麗へ出陣していた時のこと。陣中はどうかと見渡したところ、遠くで母衣武者たちが母衣を外してくつろいでいるのを発見しました。
「陣中で74279を外すとは、戦場での心得がなっておらん。こっぴどくりつけてやるから、最初に母衣を外した者を連れて参れ!」
直茂は伝令に命じて母衣武者たちに確認させます。さぁ困りました。誰だって叱られるのは嫌なものです。